Re:animation公募DJコンテストに臨むチャレンジャーの一考察。
脂肪燃焼団、めいっぱい背伸びをしている最中です。
このコンテスト、どんな結果が待ち受けているかは分かりませんが、半月向き合ってみて、取り組む上でひとつ道筋らしきものが見えました。
大事なのは多分、このテーマを「どれだけ未解決のまま抱えられるか」なのではないか、と思います。
「公募、出してみよう!」と決心してMIXに取り組みはじめ、週2本ペースで既に4本のMIXを作ってみました。
1本目は「とりあえず気の向くまま」。
2本目は「テーマを意識して」。
3本目は「高得点を狙って」。
4本目は「個性を活かして」。
さまざまな試行錯誤を重ねて、僕ら脂肪燃焼団の30分の密度は確実に濃くなっています。
コンテストだから当然、色んな要素を試して、高評価を狙っています。
30分を作ってみれば「洗練されており、論理的にも高得点が狙えるパート」と、そうでもないパートが出てきます。それを取捨選択し……いよいよ、大詰めと言うところまで来ています。
が。
この期に及んで気づいたことがあります。
いま脂肪燃焼団は「間違いなく高得点が狙える曲」を1曲、削るか、残すか悩んでいる最中です。
ここを終えれば、あとは収録のための練習を繰り返し、精度を上げるだけ。
ただ、このほんの1曲のために3日、足踏みをしています。
なずはディレクターとして「外せ」と判断しています。
作った僕はこの曲に出会うまで、1週間かかりました。
何時間も必死で考えてきました。まだ決心ができていません。
が「悔しい気持ちがあるが、最終的には外すしかない」と思っています。
理由はなんだろう。
「心の針の振れ方が予想通りだったから」でしょうか。
◆コンテストテーマ
「大空の下で聴きたいDJ MIX」。
良い曲を選ぶ、セレクターとしては自信があります。
もし「このテーマに合う良い曲を1つ選べ」なら、優勝できると思っています。
空と大地と風と空気。その美しさを歌う歌。
音楽の素晴らしさを歌う歌。
美しいメロディ。
その、すべてを兼ね備えた曲を、探して、探しまくって、
「あ、これだ」と思うものを見つけました。
でも……与えられたミッションは「DJ MIX」。
30分を使って「大空の下で聴きたい」を表現しろと言われている。
確かに最良の曲を探しました。
この曲は3分30秒。
しかし、残りの26分30秒はいったい何のためにあるのか?
いよいよ期限が迫る中で、不思議なことはまだあります。
「間違いなく高得点が狙える曲」を「要らない」とディレクションしたなずが「高得点に繋がるか分からない、テーマと密接に繋がっているように思えない曲」のいくつかを「ここは、まだ判断しないでおこう」と、まだ保留している、ということ。
そして、それを選んだ僕自身も、
「実は、ここは得点に結びつくかハッキリよく分からないんだ。何となく選んだんだ。着実に点が取れる構成を作るために、ここは切って、さっき切った曲を残さない?」
と提案する気持ちが起こらないこと。
「それでも、この曲はあったほうがいいんじゃないか」と思っていることです。
なぜか僕らは「大空の下で聴くなら、これがいい」と、根拠もなく数曲選んでおり。
これなら共感してもらえる、これを共感してもらいたい、という強い気持ちを抱いている。
いくら洗練しようとしても「作者である我々自身も何故選んだか分からず、まだ手をつけられない部分」が残ってしまうことに気づき始めています。
→
— VJ Spike-Bloom (@SpikeBloom) 2018年3月28日
これは簡単に言うと
「手段が目的になっている」から。
いい機材で、大きな会場で、鮮明な映像を出したい。
これが最初はクリアできない。
クリアした頃には実際に大きな会場でプレイしている
そうなると「アガリ」ってなって先が出てこない
ゴール地点に手段を設定すると
帰着点が見えなくなる
コンテストの構成・選曲・練習、とても辛いです。
気力も体力もイマジネーションも、想像を超えて必要でした。
大空の下で聴きたい曲を30分列挙できれば、ひとつの「アガリ」の形。
うんざりするくらいの時間を費やして
「この曲がもっとも今回のテーマに相応しい」と思った曲に出会い。
あがってしまおうか、という所まで来ました。
しかし、手放す。
「自分で『大空の下で聴きたい曲コンテスト』にすり替えて、楽をしようとしていないか?」
「何とか30分をまとめあげるために、手を挙げたはずじゃないでしょう?」
という、あまりに初歩的な気付きとともに。
「大空の下で聴きたい」この意味を、まだまだ、最後の最後まで留保して、
自分自身の「何だかわからんけど俺はこれだと思う」と向き合い続けなければ。
……というか……向き合い続けたい。
ひとまず、そういう心境までたどり着いたところです。
はてさて。
あと2週間の試行錯誤の先に、
「いやあ、こうして形にしてみてはじめて分かった。だから僕らはこれが使いたかったのか」
そんな瞬間までこれからたどり着けるのでしょうか。
よく分かりませんが、もしその境地に辿り着けるなら、100人が100人「良いね」と言うMIXよりも、きっと面白いものが提出できるんだろうな、と僕らは思っています。
このコンテストに向き合い「あれ?俺、今までにない、良い山を登り始めたんじゃないだろうか」という心良い感触を得ています。
修行の機会を与えていただいたこと、誠に感謝します。