脂肪燃焼団のおふとりさまですが相席よろしいですか?

脂肪燃焼団のメンバーが日々思ったこと、食べたものなど。

何なんだ!?レディプレイヤーワン!!

 デカい。
 そして、とてつもない、圧。
 この映画は一体何なんだ??としか、言いようがない作品でした。


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原因は知らないんですけど、僕はGWに死ぬんだと思うんです。確信を持っているんです。
先週はパシフィック・リム、今週はレディプレイヤーワン、来週はアベンジャーズ、見ようと思えばリメンバー・ミー、ボスベイビー、しんちゃん。世界中が俺を狙っているんです。なんかひどい目に合わなければ釣り合いが取れないと思ってるんです。


それとも、こういう映画を世界中が待っているのかなあ。なんか、スゴいなあ。


とりあえずこの映画について言いたいのは、老い先短いジジイが世の中で一番恐ろしいということですね。
「IP?ライセンス?知らねえよ!スピルバーグが使うからって言ってディズニーとDCと東宝サンライズカプコンSEGAにキャラ貸せって電話しろ!」と言わんばかりに他人のキャラクター使い放題。さらにはキーキャラクター・ハリデイという名のスピルバーグアバターが映画中を躍動する、躍動する。

実に低俗かつ、テーマ性の低い、ただの自意識の固まり。話題先行、中身空っぽ。
脂ぎったジャンキーな作品です。

大の大人の試聴に耐えうる作品ではありません。

こんな映画を見ても、人生には何の役にも立ちません。



でもメチャメチャ面白いぃぃぃぃぃ!!!!!!





そう。
「低俗でレベルが低くて大の大人が見る作品ではないけど、でも面白くて、観る前と観た後では人生が変わってしまう」
そんなテーマを背負いながら、今まで生まれてきたすべてのポップカルチャーに対する祝祭のような作品でした。


パシフィック・リムも、もちろん同じ、ゴツい「匂い」を感じる作品でしたが、レディプレイヤーワンに比べれば、ぜんぜん、いい柔軟剤を使っていますね
レディプレイヤーワンはその手の匂いを消すつもりは微塵もない。年をとると前頭葉が劣化してガマンが効かなくなると言いますがまさにそんな感じ。全編に渡り「オタクは無条件に素晴らしい」の嵐。ポップカルチャーとクラシックな映画作品を愛する気持ちがあれば、シンクタンクにも、特殊部隊にも勝ちます。その上、好きなものだけ一途に一直線、握手券や課金といった札束ブン殴り合いが大好きな「2010年代の日本のオタク像」などに寄せるなど全くなし。自分がどれだけ良作を観ているかで自分の人生の重みが変わると信じ、自分の好きな作品からの引用で信条を語る、マジモンのオタクだけを礼賛する、オタク界の朝鮮中央放送です。


従来、こういう人たちは社会的に排除されるものでした。
アニメや漫画といった商品を通してでしか自分を語れない人間なんて、軽んじられて当然でした。大人はリアルに触れ、リアルの厳しさに晒されて、大人らしく振る舞うものであって、いつまでもポップカルチャーに浸かっている人間は未熟でヤクザ者です。それが、当然です。


しかし、どんなに社会が間違っているとしても、ポップスがなければ生きられない人もいるし、アニメに生き方を学ぶ人がいる。
「誰が間違っていると言っても、僕はそうなんだもん」としか言いようがない人種が、世界中に増えつつあるということですね。

なぜ、たかがアニメ、たかがポップスに、人は痺れるほどの衝撃を受けてしまうのか。

その仕組みは、ウェイドがオアシスの何に魅了されていたか、あるいは「イースター・エッグ」の存在そのもの、終盤、ダイレクトにハリデイの口から語られることで明らかになっていきます。切実なくらいに語られます。クサい。クサすぎる。でも、これを照れずに語れるのが円熟の域に達したスピルバーグです。


しかし、それにしても変な映画です。
今回「ヤクザ者」として描かれたソレントは、決して常識の外にいる人物ではありません。終盤、血が上るまでは至極まっとうなビジネスパーソンです。
そもそも、商売のために生み出されたアニメやポップス、オアシスの世界から、なぜ、それらを用いて一儲けしてやろう、経済を活性化させてやろうという「まっとうな」ソレントが排除されていくのか??
ある面では全く「成立していない」展開といえます。


何でソレントが悪なんだろう?


いろいろ考えたんですが、アニメもゲームも「生きる上でムダなものだから」なんじゃないかなって。


アニメもゲームも、水や空気や食べ物でもあるまいし、無くても生きていけるもの。
でも、水や空気や食べ物に不自由していなければ、生きていると言えるのか?
そうではなく、誰かと共に過ごしたり、笑ったり共感したり、そういうことを通じて生きていることを実感するはず。
たとえどんな動機で生み出されたものであっても、ムダだけど、ムダだから、アニメもゲームも、尊いんですよね。


そんな、恍惚の時を与えてくれる、かけがえのないものたちに値札をつけ、我が物にしようとするソレントは、まったく常識的ではあれど、本質的な意味で非人間的であり、憎むべき悪なんだ、という構図ですかね。


それを毅然とはねのけるウェイドの姿は、大人としてはダメなんですけど、やっぱりカッコいい。
現実は、どうしてもそうはいかない。
目が眩むこと、多いです。
僕自身も、権力のある人が目の前にいれば、やっぱりお目通り願いたい。値打ちをつけてもらいたい。
内心では「ヤクザ者」と思っていても、金儲けをしている人や、人のものを食い物にして、いい思いができるなら、混ぜてもらいたいと思ってしまう。
人よりいい目を見てやりたいと思ってしまう。


でもどうなの、それ。
そうやって手に入れた何もかもだって、長い目で見ればかりそめ。

人生なんて、オタクにステ振りしようが、現実にステ振りしようが「ポップ」なもの。

好きな方に振り切っちゃっても、いいんじゃないの。俺も昔「シンドラーのリスト」とか作ったけど、やっぱこういうのが好きだわ。


そんなメッセージがビリビリ伝わってくる、オタクの大師匠からのアツい作品でした。